アルツハイマー型認知症【リコード法:インスリン抵抗性】

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インスリン抵抗性【原因】

 インスリンとは

 ホルモンの一種であり、主に食事で消化吸収された「糖」をエネルギーに変えるための役割を持っている。

 インスリン抵抗性とは

 インスリンの効き目を表すもので、インスリンが分泌され各細胞などに存在しているのに、糖をスムーズにエネルギーにすることができなくなったりといった不具合を起こして状態を言う。

 では、なぜインスリン抵抗性になってしまうのか。

 インスリンの影響を受ける体の組織は、長い期間インスリンの刺激を受けていると慣れてしまい、インスリンから受ける影響に対して鈍感になってしまう
 この状態がインスリン抵抗性になる。

 つまり、インスリンの量が常に多い状態だと、インスリン抵抗性の状態になりやすくなると言うことである。

 では、インスリンはどのような状況で分泌されるのか。

 インスリンは血糖値が高い状態で分泌が促される。

 血糖値とは

 血液中を流れる「ブドウ糖」の濃度を表す数値である。

 インスリンはこのブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギーにする役割があるため、ブドウ糖が多ければ多いほど、インスリンの分泌量も比例するように多くなる
 この血液中にブドウ糖が多い状態を「高血糖値」と言う。

ではなぜ高血糖になってしまうのか。

 食事で「糖質」を含む食品を多く取ることで、人の体は簡単に高血糖になる。

 白米やパンなどの炭水化物に始まり、スポーツドリンクや野菜ジュース、ジュースなどに含まれる果糖ブドウ糖液糖などに糖質が多く含まれている。

 白米に至ってはお茶碗一杯分150gに糖質55g含まれている。
 
 これは角砂糖13個分ほどの糖質量になる

 現代の日本人の平均糖質摂取量は1日300gと言われている。

 コンビニで売っているおにぎり二つと紙パックの野菜ジュース一本で、大体糖質100g分に相当する。

 そう考えると、300gは少ないようにも思えるが、糖質300gは角砂糖75個分の糖質量に匹敵する。

 上記のような食生活を続けることで、高血糖になりインスリン抵抗性の状態になると、アルツハイマー型認知症にどのような影響があるのか。

 まず、インスリンには脳細胞を助ける信号を送る役割がある。

 しかしインスリン抵抗性によって、インスリンの効き目が悪くなると、この信号が送れなくなる。

 認知症とインスリンの関係は他にもある。

 仕事を終えたインスリンはIDE(インスリン分解酵素)によって、分解されるのだが、このIDEはアルツハイマー型認知症を引き起こす「アミロイドβ」の分解も行なっている。

 IDEがインスリンの分解を行なっている間はアミロイドβの分解は行われないので、高血糖によってインスリンが過剰に分泌されていると、脳内のアミロイドβは溜まっていく一方で、脳の破壊も止まらなくなる。

 つまり、インスリンが分泌され続ける限り、アミロイドβの量は減らずアルツハイマー病は進行し続けることになる。

インスリン抵抗性【改善】

 インスリン抵抗性によって、インスリンが脳細胞に送る信号が鈍化し、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβの分解も行われないことを解説した。

 そして、インスリン抵抗性が起こる原因は高血糖であることも紹介している。

 つまり、高血糖を改善できれば認知症も改善されると言うことである。

 高血糖の原因として、過剰な糖質の摂取を取り上げた。

 日本人の平均糖質摂取量の300gは過剰の部類に入る。

 では、1日にどれだけの糖質量まで落とせば適性か。

 食の健康に明るい『ロカボ』では下記のような糖質量の規定を示している。

 ・一食につき糖質量を20~40g
 ・デザートは10g以下
 ・1日で70〜130gの糖質量

 1食の糖質量20~40gで主食を摂るのであれば、茶碗一杯で白米で55gの糖質を含むのでオーバーしてしまう。

 そのため、お茶碗半分に量を減らしたり、主食をとらず主菜副菜の量を増やすことが求められる。

 減らした糖質分のエネルギーを他の栄養素から取り入れる必要があるため、肉や魚などから摂れるタンパク質と、チーズや油脂から摂れる脂質の量を増やす必要があるだろう。

2018年3月1日 著者:デール・ブレデセン 監修:白澤卓二 訳者:山口茜 発行所:ソシム株式会社『アルツハイマー病 真実と終焉 ”認知症1150万人”時代の革命的治療プログラム』

2018年12月30日 著者:牧田善二 発行所:日本文芸社 『眠れなくなるほど面白い 図解 糖質の話


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