ストレス【コルチゾールの分泌:原因】
ストレスは脳の働きと密接に関係している。
人はストレスを受けると、ストレスに耐えるために「コルチゾール(ストレスホルモン)」と呼ばれるホルモンを分泌する。
短期間で解消されるストレスに対しては、コルチゾールは適量が分泌される。
短期間で解消されるストレスとは
・良好な人間関係の中での交流で感じる刺激
・やりがいを持ち、納得した上で仕事に取り掛かることで得られる刺激
・旅行や遊びで得られる刺激

しかし、慢性的なストレス、つまり尾を引くタイプのストレスに対しては、コルチゾールも比例するかのように分泌され続け、高濃度のコルチゾールが脳に存在する状況を作り出す。
慢性的なストレスとは
・職場の人間関係悪化に伴い、仕事中の長時間に感じるストレス
・残業が多く、休日もほとんど取れない。
責任がかかったり、期日が迫られている仕事を任せられている時に感じるストレス。
・逆に仕事がない、やりがいを感じない。
ヤル気が出ない、刺激がなくて感じるストレス。

慢性的なストレスによって、コルチゾールが高濃度になるまで分泌されることで、脳細胞にダメージを与える結果となる。
特に記憶を司る海馬と呼ばれる組織に重大な影響を与え、認知機能と記憶機能の低下を引き起こすリスクが高い。

では「ストレスのない状況」が脳に良いかというと、そうではない。
コルチゾールの急速な低下によっても、海馬の喪失が起こるので、適量のコルチゾールの分泌が必要になる。
つまり、慢性的なストレスによって起こるコルチゾールの長期分泌を抑え、短期的なストレスによる適度なコルチゾールの分泌を促す必要がある。
ストレス【コルチゾールの分泌:改善】
アルツハイマー型認知症の改善を考えた際に「慢性的なストレス」の除去は優先的に行われるべきである。
改善策としては
・慢性的なストレスを引き起こす原因の除去
・慢性的ストレスを緩和すること
以上二つの策を同時並行で行う必要がある。
まず、慢性的なストレスによる影響を下げ、適切な判断や考えを保持する必要がある。
その方法として効果的なのが「瞑想」である。

瞑想と言ってもスピリチュアルなものではなく、科学的根拠に基づいたものになる。
瞑想の方法
・クッションや椅子など、自分がリラックスできるものに座る。
・クッションであればあぐらなどの楽な姿勢で背筋を伸ばし、
椅子の場合は尾骨を椅子の付け根に当てる。
背もたれには寄りかからない姿勢を作る。
・姿勢を保持したまま、目を瞑るか遠くを見つめ、深呼吸を行う。
・鼻から4〜5秒間かけて吸い
口もしくは鼻から5〜6秒間かけて息を吐く。
・これを3分間行う。


深呼吸によって、自律神経における副交感神経(リラックスを司る神経)が優位になり、ストレスによって高まった神経を落ち着かせることができる。
また、深呼吸によって自律神経が改善され、姿勢が正しくなることで血行改善を実現し、脳にも良い効果が現れる。
瞑想の合計時間が3時間を超えると脳の前頭葉の活性化が目立つようになり
自制心・洞察力・注意力の向上が現れるようになる。

また瞑想の継続が8週間を超えると、前頭葉だけでなく、扁桃体という組織にも効果が現れ
不安・恐怖といったマイナスの感情を軽減しコントロールすることができる。

瞑想によって、今現在感じている慢性的なストレスを軽減し、継続することで脳の強化によりストレスに強い状態を作り上げることができる。
しかし、これだけでは慢性的なストレスの対策としては不十分である。
ストレスを軽減することができたなら、次は慢性的ストレスの原因を取り除く必要がある。
ストレスの原因が
・職場にあるなら、休職をもらい職場から離れる。
・家庭にあるなら、第三者を立てて家庭から離れる。
おそらく、場所は違えどほとんどの場合ストレスの原因は「人間関係」によるものだと考えられる。

どんなにストレスを軽減できたとしても、慢性的ストレスは常にストレスを与え続けるため、それをカバーするほどの力は瞑想にはない。
ストレスの原因から離れ、瞑想をはじめとした「メンタル強化」によって、心身の休息と改善を行って初めて、慢性的なストレスの原因の改善・解決を行うべきであろう。

2018年3月1日 著者:デール・ブレデセン 監修:白澤卓二 訳者:山口茜 発行所:ソシム株式会社『アルツハイマー病 真実と終焉 ”認知症1150万人”時代の革命的治療プログラム』
2019年12月 著者:鈴木裕 発行元:クロスメディア・パブリッシング 『科学的な適職 4021の研究データが導き出す』
2019年12月24日 著者:メンタリスト DaiGo 出版社:KADOKAWA 『ストレスを操るメンタル強化術』
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